徳島・鳴門市で6月25日、「内航船の進水式」が行われた。地元民や地元高校生対象の船体見学会も開かれた。主催は「徳島県内航船組合」。
全長80メートル、重さ約500トンの内航貨物船「第一大栄丸」
同県の地場産業である海運、造船事業の船員職業への意識を高めてもらうことを目的に、同組合ではこれまで、次世代を担う高校生を対象に出張授業や職業PRポスターを作製するなどの広報活動を展開してきた。船体見学会はその一環。
この日、「徳島科学技術高等学校」(徳島市北矢三町2)の海洋科学・海洋総合コースの2・3年生6人が見学に訪れた。
披露されたのは「徳岡造船」(鳴門町)が建造した内航貨物船「第一大栄丸」。全長80メートル、重さ約500トン、20フィートのコンテナ138個を輸送する能力を持つ。今後は、山口県の徳山・岩国と、千葉県船橋市・神奈川県川崎市を結ぶ航路で活躍する予定だという。
16時から始まった神事のあと、同船船首からもち投げが行われ、地元住民を中心にもちを拾う人々で会場は賑わいを見せた。支網(しこう)切断とともにくす玉、シャンパンが割られ、船尾から船台レールをゆっくりと滑り下り、船体は無事海面に浮かんだ。
フェリーの乗組員を目指す同校の3年生は「海が好きでフェリーの乗組員を目指している。間近で見る船はとても大きくて、魅力的。船員になれるようしっかり勉強したい」などと話していた。安全のため装着していたヘルメットいっぱいに拾ったもちは「帰って家族と砂糖しょう油につけて食べます」と笑顔を見せた。
同組合の関係者は、「間近で見られる機会をこれからも増やしていきたい。地元海運業者が地元造船所に依頼した船に、地元出身の船員が乗船してもらえるよう、地場産業の活性化につなげたい」と意気込む。