徳島の食品衛生コンサル会社「スペック」(川内町沖島85)が加工・販売を手掛ける「生きている海苔(ノリ)」が現在、ウミイグアナの食を支えている。
「体感型動物園 iZoo(イズー)」(静岡県賀茂郡)で飼育・展示され、海藻を主食とする珍しいはちゅう類の同イグアナ。今年4月から同園で日本初の飼育・展示を始めたが、思うようにえさを食べず、関係者を困らせていた。同社が同月、試しにと同商品を郵送した所気に入り、現在主食として食べ続けているという。
きっかけは、同社の敏鎌(とがま)ゼネラルマネージャーが、ウエブで「生海苔」を検索し、「主食は生海苔?」という記述を見付けたことだという。「ウミアグアナさんに自社の『生きている海苔』も食べてもらえるかもしれないと思った」と当時を振り返る。すぐに思いの丈を手紙につづり、同商品とパンフレットを添えて郵送したという。
同園の白輪園長は「飼育して間もない子どものウミイグアナに海水で溶かした板のりや、同県産の青さのりの生ノリを与えていたが、なかなか食べず困っていた。商品到着後、通常の食事時間外だったが与えた所、パクパクと食べ始めた姿を見て、すぐに使うことを決めた」と話す。
同商品は、海から摘み取った新鮮な生ノリをそのまま特殊な冷凍技術で長期保存できるようにしたもの。一級水系の吉野川河口域に生える黒ノリのみを使用している。2008年、ノリ漁師からの相談を受け、開発に着手。翌年、販売を開始。現在はプロユースの食材として、県内や京都などの料亭などに販売を行っている。
4月末に同園を訪問したという敏鎌さんは、同商品を食べる姿を動画に収め、白輪園長に同園運営の思いを聞くなど、交流を深めた。敏鎌さんの誕生日には同社員から「ウミイグアナなりきりセット」と題したプレゼントをもらうなど、祝福を受けたという。現在は、新たな土産品の開発など行っている。