とくしま動物園北島建設の森(徳島市渋野町)は、9月3日に死んだマサイキリンの「イッペイ」をしのぶ献花台をサバンナエリアの休憩所に設置した。
イッペイは2002(平成14)年4月10日、熊本市動植物園(熊本県熊本市)で生まれ、2005(平成17)年11月15日、とくしま動物園にやって来た。同園で約15年間、サバンナエリアの象徴的な動物として人気を博した。イッペイは死んだ当日も健康上の問題は見られず、食欲も旺盛で普段と変わらない様子だった。マサイキリンの寿命は20年ほどと考えられていることから、老衰で死んだとされている。
同園では、毎日動物の様子を観察し、動物がサバンナエリアの入り口に近づき出たがる素振りがあれば開放し、帰ってくるとバックヤードで休憩させていた。最近のイッペイは、サバンナエリアに出る時間が少なくなっていた。来園客からは「最近キリンがなかなか見られなくてレアだ」という声が聞かれていたという。
同園の濵義之園長は「イッペイの仲間を増やしたいと考え、キリン舎を増築することも計画していた。秋に涼しくなったら、また出てくるかなと思っていたが、こんなことになるとは思ってもみなかった」と肩を落とす。
献花台には、来園客からの花が手向けられている。同園では、現在はコロナ禍のため来園できない客が多いことを想定し、当分の間、献花台を設置したままにしておく意向だ。お別れの会なども同園関係者のみで行い、一般には公開しない予定。
時期を見て、イッペイが来園した時から、これまでの思い出写真や来園客が描いたイラストなどを展示するメモリアル展の実施を企画している。
マサインキリンは、イッペイを含めて日本で8頭しか飼育されていない貴重な動物だった。イッペイが死んだことで、現在マサイキリンを飼育している動物園は九州の数園だけとなった。