徳島在住のグラフィックデザイナーの作品が現在、韓国ソウルで開催している韓・日国交正常化50周年展「交、Graphic Symphonia」の公式ポスターに採用されている。
韓国国立現代美術館が主催する同展。日韓の20代~60代の各世代のデザイナー10人が「Graphic Symphonia」をテーマにポスターを制作。グリコなどのロゴを手掛けた奥村昭夫さんを含め、同県から40代では「スマイルグラフィックス」(徳島市川内町)の中野道広さん、50代に「如月舎」(徳島市南昭和町)の藤本孝明さんが作品制作を担当した。
2人に加え、交流のあるコピーライターの新居篤志さんがサポーターとして制作を協力。意見交換などを行いながら3週間をかけ作品を仕上げたという。
日本タイポグラフィ協会のつながりで、奥村さんから出品の依頼を受けた藤本さんは、同協会会員で「TADC(=徳島アートディレクターズクラブ)」として県内で共に活動を行ってきた中野さん、新居さんに声を掛けたのが出品のきっかけという。
50年間の日韓両国のグラフィックデザインの流れや傾向、両国のグラフィックデザイナーなどを紹介する同展では、デザイン・シンポジウム、セミナー、創作ワークショップなどのプログラムを通じ、両国のデザイン文化交流の場を創出する。ポスターは会場で展示され、販売も行われている。
作品に関して藤本さんは「『交』という文字と『心』を抽象化した。交わるには点で両国を表現。心の目で互いを見つめ合えば、文化が花開いていくのではないかというメッセージを込めた」と話す。
中野さんは「頭がおかしくなるほど考えた。韓国と日本をどうすればいいのかばかりを考えていたが、韓国のことをわかっていない中でそれを表現するのは難しかった。入稿日の朝まで掛かり仕上げることができたが、新居さんがいなければ何もできなかった」と振り返る。
新居さんは「文化、アートなどの趣旨は理解したが、日韓というキーワードもとても重たいもの。交わりを前向きに表現することがとても難しかった。誰かに意見を求めるのはよくあることで、話し相手として参加できればいいと思っていたが、見る見るうちに2人がやせ細っていくのを見て大変なプレシャーなんだと思った」と話す。
3人は9月30日に同館を訪問する予定。開催は10月18日まで。