同マルシェは、新町川沿いに並ぶパラソルショップで、こだわりの農産物や加工品を購入できるイベントとして定着。2010(平成22)年12月、県産食材のPRや徳島市中心部の活性化を目的に徳島経済研究所の発案で始まった。発案者の田村耕一さんは「フランスのパリやリオンの朝市を見て、徳島にはこだわりのある素晴らしい農作物や生産者がいる。しゃれた産直市は人が交流できる場として必要になっていくと考えて始めた。10年続けてこられたのは、生産者と足を運んでくれたお客さんのおかげ」と話す。
2017(平成29)年11月からマルシェを運営するネオビエント(北島町)の藍原理津子社長は「3年前にマルシェを引き継いでから、いろいろな工夫をしてきた。今年はコロナ禍で4カ月間開催することができなかった。私たちも生産者も大変苦しかったが、徳島の食の素晴らしさを、生産者の発信する場所を守っていきたいと強く思った。これからを考え、生産者の思いを届ける動画を制作している。VRを使った販売も進めている」と力強く話す。
10周年となった27日は、「甘酒・おもち・年越しフェア」と題して約70店が年越しそばや雑煮用の白みそ、餅、野菜などを販売し、約7000人が訪れた。フェアゾーンのカウントダウン餅つきでは、用意した餅米45キロが3人の懸け声の下、次から次へときねでつかれていった。1パック300円のつきたての餅が2時間半で完売した。
だしソムリエの資格を持つDASHI KITCHEN ZENの代表、河口晶さんは「だしは形あるものから取るということを知ってほしいと思い商品を開発している。年越しのそばつゆやおせち料理にも使える。マルシェには12回くらい参加している。いつもは、3種類のだしを飲み比べる『だしバー』を提供していたが、今日は初めて里芋のポタージュを出した。体が温まると思う」と話す。
徳島市から家族で初めて訪れた三浦創一郎さんは「今日のイベントは友人から聞いた。前から行きたかった店が集まっていたし、知らなかったが食べてみて、とてもおいしい店だと発見することもできて楽しかった。良い年が越せそう」と話す。
10周年記念の一環で先着200人にカードを配布。イベントステージで、参加している生産者の卵や野菜、お菓子などを詰め合わせた「とくしまマルシェセット」が30人に当たる抽選会を行った。抽選で当たった、藍住町から家族で来ていた女性は「番号を呼ばれ驚いた。マルシェには時々来るのでここの物産が頂けてうれしい」と笑顔で話していた。