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徳島県立近代美術館が絵画購入費募る クラウドファンディング初挑戦

徳島県立近代美術館の吉川神津夫さん

徳島県立近代美術館の吉川神津夫さん

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 文化の森総合公園内にある県立近代美術館(八万町向寺山)が4月28日、絵画購入費220万円を目標金額としたクラウドファンディングを始めた。

購入予定の絵画

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 2018(平成30)年に開催した「アール・ブリュット再考展」から毎年アール・ブリュット作品について広く知ってもらう活動を継続している同館。購入を予定している絵画は、作者ローズマリー・コーツィーが1983年に制作した縦244センチ、横183センチアクリルキャンパスに描かれたもの。ユダヤ人のコーツィーは、幼少時にホロコーストを体験し生き延びたドイツの作家で、同作品はコーツィーが年を重ねてから、ホロコーストの犠牲者を弔う気持ちから衝動的に制作を始めたものの一つ。

 病気や天災、圧政などで多くの人々が命の危機を感じている現在、コーツィーの命に対する思いと重なるものがあると考えた同館は、アール・ブリュット作品を通じて、ダイバーシティに対する理解促進を図ることを目的に、多くの人に知ってもらい共有できる場にしたいとプロジェクトを始めた。

 同作品は、挑戦者の同館学芸交流担当課長の吉川神津夫さんが美術作品のリサーチ活動の中で出合ったもの。吉川さんは「初めて作品を見た時、ペインティングナイフによる激しいタッチが印象に残った。背景を聞いたのはその後だが、作家の激しい感情から生まれたもののように感じた」と振り返る。

 初めて挑戦するクラウドファンディングについては、「開始して間もないのに、全く面識のない方から支援を頂いていることに感謝している。これがクラウドファンディングだということを実感した。これからも引き続きこのプロジェクトの支援をお願いするとともに、共感していただける方はぜひ、周知の協力をお願いしたい」と呼び掛ける。

 購入したコーツィーの絵画は7月10日~9月12日に開催予定の「徳島県立近代美術館展示」で展示を予定する。

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